社会に届け、沈黙の声
知的障害と呼ばれる人々が語る、津久井やまゆり園事件、出生前診断、東日本大震災

柴田保之 

四六判並製 272頁 定価(2100円+税)
ISBN978-4-907961-17-6 C0037
2020年12月10日発行

装幀:西田優子

私たちは誇り高く生きてきた!

『沈黙を越えて』刊行から五年……

厚い壁の中に
閉じ込められたままの
言葉に、翼をつけて、
その言葉から社会が何かを
学びとることをめざす
新たな試み

知的障害と呼ばれる人々の言葉に、耳を傾けてほしい……



●目次

第1章 介助つきコミュニケーションについて
 1.介助つきコミュニケーションとは何か
  (1)信頼性をめぐる議論
  (2)介助つきコミュニケーションの方法と介助の内容

第2章 東日本大震災に思う
 1.なぜという問い
 2.災害と障害の共通性
 3.わずかな希望さえあれば人は生きてゆける
 4.救い
 5.自然との共生と闘い
 6.また取り残されたという思い
 7.足手まといになること
 8.鎮魂
  《コラム》きんこんの会

第3章 新しい出生前診断について
 1.新しい出生前診断の議論の始まり
 2.当事者の声
  (1)2012年9月2日 町田市障がい者青年学級において
  (2)2012年9月15日
  (3)2012年9月22日 ダウン症当事者の声
  (4)2012年9月24日 二人の女性の声
  (5)2012年10月15日
  (6)2012年11月18日 町田市障がい者青年学級において
  (7)2012年11月18日 母の死を越えて
  (8)2012年12月13日 ダウン症当事者の少女の言葉 
  (9)2013年5月11日 若葉とそよ風のハーモニーコンサートにおける発表
  (10)2013年12月1日 町田市障がい者青年学級において
  (11)2014年5月3日
  (12)2014年11月18日
  《コラム》きんこんの会 声明文

第4章 入所施設での暴行死事件について
 1.事件の概要
 2.事件をめぐる当事者の言葉
 3.「強度行動障害」をめぐって

第5章 津久井やまゆり園事件によって問われたもの
 1.いのちの価値をめぐって
  (1)かけがえのないいのち
  (2)豊かな言葉の世界の存在
  (3)専門家やマスコミの見解に対して
 2.優生思想について
  (1)犯人の思想
  (2)優生思想を越えてきたもの
 3.犯人の許しについて
 4.被害者が匿名にされたこと
 5.被害者の追悼と鎮魂
 6.町田市障がい者青年学級ととびたつ会での取り組み

終章 いのちを見つめて
 1.もう一度このからだで生きてもいいよ
 2.苦しみは理想をつなぐ糸
 3.苦難、それは理想への水路
 4.まっすぐな心


●著者紹介
柴田保之(しばた やすゆき)
 1958年大分県生まれ。東京大学教育学部教育心理学科を卒業後、同大学大学院を経て、1987年より國學院大學に勤務。現在、國學院大學人間開発学部初等教育学科教授。専門は、重度・重複障害児の教育の実践的研究。(財)重複障害教育研究所において中島昭美先生のもとで実践的研究に携わる。また1981年より、町田市障害者青年学級にスタッフとして関わる。
 主な著書:『みんな言葉を持っていた――障害の重い人たちの心の世界』(オクムラ書店)、『沈黙を越えて――知的障害と呼ばれる人々が内に秘めた言葉を紡ぎはじめた』(萬書房)。


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