尾崎翠の感覚世界
《附》尾崎翠作品「第七官界彷徨」他二篇

加藤幸子 

四六判上製 256頁 定価(2300円+税)
ISBN978-4-907961-06-0 C0095
2015年8月10日発行

装幀:西田優子  装画:福重明子

名著復刊! 芥川賞作家による尾崎翠讃歌

本作品論で言及した「第七官界彷徨」「歩行」「地下室アントンの一夜」も収録。尾崎翠論を読み、尾崎翠作品を愉しむ……至幸のとき。


涼しい風のごときものが、体を走りぬけていった。すぐにその本と私のあいだに、とてつもなく強い磁石の力が働いているのを感じた。

私が本稿で明らかにしたことは、尾崎翠の作品は、超現実の空気を漂わせながら、実はしっかりした根拠に基づいてつくられている、ということである。……根拠が明らかになっても、なおかつ私は尾崎翠の作品が好きで好きでたまらない。 (「尾崎翠の感覚世界」より)


■書評:「読売新聞」書評欄(本よみうり堂)2015/10/4(評者:作家の本谷有希子氏)、「ふぇみん」10/25号書評欄、「図書新聞」2016/1/23号(評者:評伝作家の澤村修治氏)


目次
◆尾崎翠の感覚世界
 1 見えない関係
 2 翠と同世代の果敢な作家たち
 3 第七官界への旅
 4 エロスの霧
 5 おたまじゃくしのスピリット
 6 終りに
 あとがき―翠の原石

◆《附》尾崎翠作品
 第七官界彷徨
 歩行
 地下室アントンの手記

あとがき―復刊に寄せて



著者
加藤幸子(かとう ゆきこ)
1936年札幌生まれ。41年両親とともに北京に渡り、47年引揚船に乗り帰国。北海道大学農学部卒業。農林省農業技術研究所に勤める傍ら、「三田文学」に作品を発表。72~89年自然観察会代表。
82年「野餓鬼のいた村」で第14回新潮新人賞、83年「夢の壁」で第88回芥川賞、91年『尾崎翠の感覚世界』で芸術選奨文部大臣賞、2002年『長江』で毎日芸術賞を受賞。08年から財団法人北海道文学館顧問。日本野鳥の会会員。

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