とぼとぼ亭日記抄

高瀬正仁 

B6変形判上製 176頁 定価(1600円+税)
ISBN978-4-907961-07-7 C0095
2016年2月10日発行

装幀:臼井新太郎  装画:平岡 瞳

若き数学徒と伝説のラーメン屋との
奇妙で不思議な友情を描く、
著者初の自伝小説
それは昭和のある夜、四谷の路地裏に鳴りわたるチャルメラの音とともに始まった。

これはぼくの〈私的〉最終講義です。(著者談)

(本書のモデル)原澤さんと出会ったのは昭和四十五年の秋十月のある日のことで、ぼくは満十九歳であった。中先生と岡先生の(親友たちとの)場合に比べるといくぶん異色の組合せではあるが、若い日の友情は確かに成立し、一時期の挫折を乗り越えて、今日に至るまで人生の諸相において深い影響を及ぼし続けたのである。

本書は若い日の友情の力の淵源をたどろうとする小さな試みである。世代を越えて読者に恵まれて、どこかしら目に映じない場所に、友情を求め、友情の力に信頼を寄せる人びとの「精神の共同体」が形作られる契機となるよう、心から願っている。
(「あとがき」より)



■書評:「週刊読書人」2016/3/4号「新刊案内」


著者
高瀬正仁(たかせ まさひと)
昭和26年、群馬県勢多郡東村(現在、みどり市)に生れる。九州大学基幹教育院教授。専門は多変数関数論と近代数学史。歌誌「風日」同人。平成20年九州大学全学教育優秀授業賞受賞。2009年度日本数学会賞出版賞受賞。

著書:『評伝岡潔 星の章』(海鳴社、平成15年)、『評伝岡潔 花の章』(海鳴社、平成16年)、『岡潔 数学の詩人』(岩波新書、平成20年)、『岡潔とその時代 評伝岡潔 虹の章』「Ⅰ 正法眼蔵」「Ⅱ 龍神温泉の旅」(みみずく舎、平成25年)、『紀見峠を越えて 岡潔の時代の数学の回想』(萬書房、平成26年)、『微分積分学の史的展開 ライプニッツから高木貞治まで』(講談社、平成27年)、『微分積分学の誕生 デカルト『幾何学』からオイラー『無限解析序説』まで』(SBクリエイティブ、平成27年)他。

訳書:『ガウス整数論』(朝倉書店、平成7年)、『オイラーの無限解析』(海鳴社、平成13年)、『ガウスの《数学日記》』(日本評論社、平成25年)他。

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